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PPFの厚み(mil)と保証年数の選び方|施工店が知っておきたいスペックの見方
milとは何か|厚みの単位を読む
PPFのカタログでまず目に入るのが「7.5mil」といった表記です。mil(ミル)はインチ系の厚みの単位で、1mil ≒ 0.025mm(25μm)。7.5milであれば約0.19mm、つまり約190μmという計算になります。
厚いほど飛び石や衝撃を受け止める力は高くなりますが、その分だけ曲面への追従が難しくなり、施工の手間も増えます。業界で実用的に使われているのは、おおむね7.5〜8.5milのゾーンです。
| mil表記 | おおよその厚み | 性格 |
|---|---|---|
| 6mil | 約150μm | 薄めで施工しやすい。標準的なPPFとして広く使われてきた厚み |
| 7.5mil | 約190μm | 保護力と施工性のバランスが取りやすい実用ゾーン |
| 8.5mil | 約215μm | 厚みを重視したタイプ。曲面施工の難度は上がる |
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※ 換算値は目安です。製品によって実際の厚みには幅があります。
比較のために書き添えると、コーティングの被膜は一般に1〜5μm程度、車の塗装のクリア層は約30〜50μm程度が一般的とされています。PPFはそれらとは桁の違う厚みを持つ「フィルムという物体」です。ただし、厚みだけで性能が決まるわけではありません。素材の種類や強度と合わせて見る必要があります。
引張強度・伸び率・引裂強度の意味
厚みの次に並ぶ3つの数値は、いずれも「どれくらい丈夫か」を別の角度から表したものです。役割が違うので、まとめて眺めるのではなく分けて理解しておくと判断がしやすくなります。
引張強度(MPa)
引っ張る力にどれだけ耐えられるかを示す数値です。MPa(メガパスカル)は力の単位で、値が高いほど破れにくいことを意味します。飛び石や衝撃への耐性の指標として見られます。
伸び率/延伸率(%)
切れる直前まで何パーセント伸びるかを示します。曲面への密着性に直結する、施工店にとって最も体感しやすい数値です。値が低いフィルムは、バンパーのような複雑な形状でシワが出やすくなります。逆に伸びるフィルムは、熱を入れたときの追従がよく、作業時間の短縮にもつながります。
引裂強度(KN/m)
裂けに耐える力です。端部の巻き込み施工や、飛び石でできた傷口からの裂け広がりへの耐性を表します。引張強度が「引っ張って切れるか」であるのに対し、引裂強度は「一度できた切れ目が広がるか」を見ています。施工時に端を引っ張る場面が多い現場では、実は効いてくる数値です。
光沢度(GU)と剥離強度(N)
光沢度(GU=グロスユニット)は表面の輝きを表す数値で、高いほど鏡面に近い艶感になります。参考として、新車のドア塗装は90〜120GU程度とされています。透明PPFでは高いほど艶が乗り、マットPPFでは逆に低い値(20前後など)が設計上の狙いになります。マット品は数値が低いほうが正しいという点は、数値だけを並べて比べると誤解しやすい部分です。
剥離強度(N)は、粘着剤が塗装面に貼り付く強さです。施工後の端浮きを防ぐうえで重要な数値ですが、単位が他の項目と異なるため、他の強度項目と単純に比べることはできません。
規格値と実測値は別物
スペック表を見るときに押さえておきたいのが、規格値(保証スペック)と実測値(出荷検査の測定結果)の違いです。
規格値(保証スペック)
- メーカーが「この値を下回らない」と定めた基準
- 「≧18 MPa」のように下限で表される
- 製品として約束している水準
実測値(COAの測定例)
- 実際に出荷するロットを測った結果
- ロット番号とともに記録される
- ロットごとに多少の変動がある
COA(Certificate of Analysis=出荷検査報告書)は、そのロットの実測値を記した書類です。規格値だけを示す仕入れ先と、ロットごとの実測値まで出せる仕入れ先とでは、品質管理の姿勢に差があります。仕入れ検討の際は、COAが毎回添付されるかどうかを確認しておくとよいでしょう。
なお、正式な保証スペックはメーカーのTDS(技術データシート)が優先されます。実測値はあくまで、そのロットがどうだったかを示すものです。
実際のスペック例で読んでみる
SHINSHUN FILMが取り扱う透明PPF(B701)とマットPPF(B701 MATTE)を例に、規格値と実測値を並べてみます。数値の意味が分かっていると、表の読み方が変わってきます。
透明PPF(B701)
| 項目 | 規格値(保証スペック) | 実測(COA測定例) |
|---|---|---|
| 厚み | 約190μm(7.5mil) | 184μm(約7.4mil) |
| 引張強度 | 18 MPa以上 | 25.5 MPa |
| 伸び率 | 150%以上 | 270.3% |
| 引裂強度 | 50 KN/m以上 | 82.7 KN/m |
| 光沢度 | 110 GU以上 | 141 GU |
| 剥離強度 | — | 24.3 N |
| 自己修復 | あり(60℃/60秒で復元) | 100% |
| 保証 | 7年(対象:黄変・剥離・気泡・ひび割れ) | |
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マットPPF(B701 MATTE)
| 項目 | 規格値(保証スペック) | 実測(COA測定例) |
|---|---|---|
| 厚み | 約190μm | 187μm |
| 光沢度(マット) | 20±4 GU | 20.8 GU |
| 引張強度 | 18 MPa以上 | 31.7 MPa |
| 伸び率 | 150%以上 | 301% |
| 引裂強度 | 50 KN/m以上 | 102.6 KN/m |
| 自己修復 | あり | 100% |
| 保証 | 7年 | |
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※ 実測値は特定の出荷検査ロットにおける測定例です。数値はロットにより変動します。正式な保証スペックはメーカーTDSが優先されます。自己修復の条件(温度・時間)は目安であり、環境により異なります。
この表の読み方としては、厚みの規格が約190μmに対して実測184μmというように、実測値が規格の周辺に収まっているかをまず見ます。そのうえで、伸び率のように規格150%以上に対して実測270%というように大きく上回っている項目があれば、それが現場での扱いやすさにつながっている、と読み解くことができます。
保証年数の比べ方
保証年数は分かりやすい指標ですが、年数だけを並べて比べるのは避けたほうが無難です。見るべきは次の3点です。
- 何が保証の対象になっているか黄変・剥離・気泡・ひび割れなど、対象となる不具合が書面で示されているかを確認します。年数が長くても対象が狭ければ意味が変わります。
- 対象外の条件が明示されているか施工技術に起因する不具合、飛び石や事故による損傷、経年による自然な劣化、不適切な保管による劣化などは、一般に対象外とされます。ここが曖昧な保証は、いざというときに揉めやすくなります。
- 年数の技術的な裏付けがあるか「なぜその年数なのか」に答えがあるかどうか。素材が脂肪族TPUであること、ロットごとに検査していることなど、年数を支える説明があるかを見ます。
なお、実際の耐用年数は駐車環境(屋内/屋外)、走行距離、洗車頻度、地域の日照条件などによって大きく変わります。お客様には年数を言い切るのではなく、条件により異なる目安としてお伝えいただくのが安全です。
まとめ
milは厚み、MPaは引っ張りへの強さ、KN/mは裂けへの強さ、%は伸び、GUは艶。それぞれが別の性質を表しているため、1つの数値だけで良し悪しを判断することはできません。そして、規格値と実測値は別物であり、ロットごとの実測値を出せる仕入れ先かどうかも重要な判断材料になります。
数値の意味が分かると、お客様に「なぜこのフィルムを選んだのか」を自分の言葉で説明できるようになります。それが、価格だけで比べられない提案につながっていきます。
伸びと貼りやすさは、実際に貼って確かめてください
SHINSHUN FILMでは、出荷ロットごとに検査報告書(COA)を添付しています。スペックの詳細やTDSについてのご質問も承ります。ご注文・お見積り・無料サンプルのご依頼は、下のフォームからお気軽にどうぞ。
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